【PMOとは何か?】きつい?つまらない?使えない?【現役ITコンサルが解説します】

PMOはつまらないと言われるが、果たして本当にそうなのか?

この記事では、現役ITコンサルタントであり、PMO経験も多数ある私がPMOの全てを語りたい。

知識ゼロの人でも、この記事を読み進めていただければ、ある程度PMOの仕事が出来るようになる

また、PMOをすでに知っている人についても何らかの有益な情報を提供できると自負している

1.PMOとは何か

1-1:そもそもPMOって何?

まず、はじめにPMOとは何かについて説明したい。

PMOは「プロジェクトマネジメントオフィス(Project Management Office)」の略である

これを、そのまま和訳すると、「プロジェクト管理を行う組織」ということになる。

しかし、これだけではよく分からないと思うので、日本PMO協会によるPMOの定義を掲載しよう。

PMOは、組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムです。

日本PMO協会

つまり、PMOはプロジェクトを円滑に進めるために横断的に支援する組織ということになる。

一般的に、PMOはプロジェクトマネージャーの補佐をする役割を担うと言われている。

したがって、どんなプロジェクトにも存在するわけではなく、プロジェクトマネージャーの負担が高い大規模プロジェクトに主に登場します。

1-2:PMOってどんなことをするの?

では、PMOはどんなことをするのでしょうか?

PMOの役割はプロジェクトマネジメントですので、プロジェクトを進めるにあたり必要なことを行います。具体的には下記のようなことが求められます。

【PMOの役割】

①プロジェクト管理手法の立案

②会議体の整備及び各種会議の開催

③各チームの進捗・課題の可視化

④チーム内外含めたプロジェクト課題の管理・推進

⑤プロジェクトリーダーや上層部への報告

1-3:なぜPMOを外注するの?

一般的に事業会社の社員はプロジェクトベースではなく、定常業務として仕事をしている人が多いです。

したがって、事業会社でプロジェクトが発足すると、プロジェクトメンバーは自身の業務に加えて、プロジェクトの仕事を抱えることになります。

そうなると、自身の通常業務に忙殺されて、プロジェクトの進捗管理が疎かになるということが起こります。。。

そのため、プロジェクト全体のスケジュール管理やタスク管理、またはワーキンググループ間の調整を専門とした組織としてPMOを作るのです。

そして、PMOは外注することがよくあります。その理由としては大きく2点です。

 ①プロジェクトマネジメントの知識や経験が豊富である
→コンサル会社やPMO専門会社は多数のクライアントで多くのプロジェクトを回しているため、単純にプロジェクトマネジメント経験が豊富です。そのため、進捗管理や会議運営などにこなれていたり、プロジェクトでよくある失敗なども先回りして対処出来たりします。

 ②第三者の目線でプロジェクトを俯瞰できる
→社内のプロジェクトですと、社員同士のパワーバランスや人間関係によって、客観的な判断がなされない可能性があります。しかし、外部の人間を入れることで、客観性・公平性の高いプロジェクト推進を行うことが出来るのです。

1-4:PMOのスタイルについて

一概にPMOといってもそのスタイルはいくつかあります。ここでは、PMOのスタイルについて説明します。

支援型

プロジェクトに関する権限はほとんど持たず、サポートの役割を持ったPMOのこと。記録、標準化、教育などをメインに行う。

管理型

支援型のPMOに加えて、プロジェクトの進捗や管理も行う。必要に応じてボトルネックの解消のために動くこともある。

指揮型

管理型のPMOに加えて、プロジェクトの重要な意思決定を補佐したり、プロジェクト全体を統括する役割も担う。なお、このページでは主に指揮型PMOについて記載する。

2.PMOの役割について

2-1:習慣化出来るプロジェクト管理手法を立案すること

PMOはプロジェクトマネジメントのプロですので、当然、質の高いプロジェクト管理が求められます。プロジェクト管理は、プロジェクト規模の大きさや会社の企業文化によって、変えるべきものですので、決まった答えがあるわけではありません。

したがって、プロジェクトマネジメントの知識と経験が豊富な人がPMOでは必須であり、そのような経験豊富な人によって適切な管理手法を立案することが重要です。

また、管理手法の重要なポイントは「プロジェクトメンバーが習慣化出来るか」という点です。習慣化されない管理手法は形骸化されるため、PMOとして活動を継続できるように支援しなければなりません

2-2:会議体の整備及び各種会議の開催

大規模プロジェクトでは、多くの部署またはワーキンググループが関係者となりますので、意思決定や議論をする場として、会議体の設定が必須となります。

ただ、やみくもに会議を開催するのではなく、適切な回数と内容を設計した上で、会議を実施しましょう。

なお、会議体の設計方法については、下記記事を参考にしていただければと思います。

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最適な会議体を設計するために会議の6つの目的を把握せよ

2-3:各チームの進捗・課題の可視化

プロジェクトが成功するかどうかは進捗・課題の可視化にかかっていると言っても過言ではありません。したがって、PMOとして最も重要な仕事の1つであり、これをうまくこなせるかどうかが優れたPMOかそうでないかの分かれ目となります。

進捗や課題は細かく管理すれば良いというものではなく、プロジェクトメンバーにとって、分かりやすいことが重要です。

2-4:チーム内外含めたプロジェクト課題の管理・推進

私の経験から言って、大規模プロジェクトにおいて各部署やワーキンググループが自主的に課題管理や推進を行ってくれることはまずありません。なぜなら、それらの人たちはプロジェクトの仕事だけではなく、普段の定常業務も並行して行っていることがほとんどだからです。

そうすると、プロジェクトの仕事が後回しになりがちになるため、そうならないようにPMOが管理、推進する必要が出てきます。

また、部署やワーキンググループをまたぐような課題やPMもしくはPLの判断を仰ぐべき課題などもPMOが対応する必要があります。

2-5:プロジェクトリーダーや上層部への報告

プロジェクトの状況を定期的にプロジェクトリーダーや上層部に対して報告することもPMOの仕事の1つです。

プロジェクトは状況に応じて変化していきますので、全体の方針に影響が出るポイントを押さえた上で報告しなくてはなりません。

PMOはPMやPLの補佐ですので、彼らが意思決定できるように判断材料を整理することが重要です。

3.PMOとしての心がけについて

3-1:プロジェクトマネジメントの知識と経験は必須である

PMOは大規模プロジェクトで設置されることが多いため、管理が複雑になることが多いです。それらをうまく交通整理するための知識と経験は必須です。

なお、国際的に標準とされているプロジェクトマネジメント知識体系のPMBOKの記事は下記となりますので、参考にしていただければと思います。

PMBOKが定めるプロジェクト管理の9つの知識エリアについて

3-2:PM・PLに意思決定に集中してもらえるようサポートをする

この記事でも何度か書いてますが、PMOはPM、PLの補佐となります。彼らが意思決定に集中してもらえるように、本来PMやPLがやるべき全体進捗管理や課題管理をPMOが請け負うのです。

ここ1つ忘れてはいけないのは、あくまでもPMやPLの補佐であり、ワーキンググループのメンバーではないということです。ワーキンググループの中にフォーカスし過ぎて、プロジェクト全体を見失わないよう注意しましょう。

3-3:スケジュール、進捗、課題は必ず見える化し、共有する

ポイントは見える化と共有です。

スケジュールや課題は、自分の頭の中で分かっているだけでは、PMOとして失格です。

関係者間で共通の認識を持てるように必ず見える化し、共有しましょう。

3-4:全てを把握する必要は無いが、意思決定に必要となるポイント/キーワードは必ず抑える

プロジェクト全体方針に関わる部分や各ワーキンググループ内で重要となるポイントやキーワードは必ず抑えましょう。

全体を把握しようとすると、”木を見て、森を見ず”の状態になりますので、ポイントを抑えることが大事です。全体の視点は必ず常に持っておきましょう。

3-5:関係者への気遣いはしつつも、プロジェクトの成功を第一に考え行動する

プロジェクトでは、普段あまり関わらない人たちも多いため、仕事を依頼したり、進捗を頻繁に確認することに引け目を感じることもあります。しかし、PMOの行動指針はプロジェクトの成功を第一にするべきです。時には関係者同士で言い合いになることもあるかもしれませんが、プロジェクトの成功に必要なことであれば、それはやむを得ないでしょう。

ただし、コミュニケーションがしにくい状況は、プロジェクトにとってマイナスにしかなりませんので、最大限の気遣い・配慮は必要です。

3-6:スケジュール調整や各種連絡はスピードが大事

スケジュール調整や議事メモの展開、各種連絡は出来る限り早い対応をしましょう。

PMOがボトルネックにならないようスピード感を持って仕事をしましょう。

3-7:情報のオープン化を心掛ける

大規模プロジェクトでは、情報伝達をうまく行うことがプロジェクト成功の秘訣です。

全体状況を把握しているPMOが情報をオープン化、共有化することで、情報伝達がスムーズになります。

4.PMOでよくある失敗

4-1:ただの事務屋になる

会議設定や議事メモを取るだけの事務屋にならないよう注意しましょう。プロジェクトマネジメントが仕事です。

4-2:オーナーシップの欠如

受け身にならず、主体的に仕事をしましょう。自分で判断できる範疇であれば、即判断し、行動しましょう。

4-3:業務を抱え込み、PMOがボトルネックになる

PMOはプロジェクト全体管理が仕事です。ワーキンググループで出来る作業はワーキンググループにやってもらい、業務を抱え込まないようにしましょう。

PMOはPMOでやるべき仕事をしましょう。

4-4:作業に入り込み、PJ全体像の把握が疎かになる

これは作業が好きな人ほど、陥りやすいミスです。私の経験上、事業会社出身で初めてPMOをやる人は大抵この罠に陥ります。

PMOは慣れるまでは、自分の価値を見出しにくいため、つい自分ができる作業を中心に進める人が多いです。例えば、営業出身であれば、業務フローの作成、システム開発者出身であれば、テストケースの作成など、自分が出来そうな作業を行うことで、価値創出をしようとします。

始めはそれで良いかもしれませんが、それを続けていくと、その作業に没頭するようになり、PMOとして最も重要なプロジェクト全体像を見失うことになりかねません。

あくまでもPMOは細かい作業を行うのではなく、プロジェクト全体の進捗管理や課題発見もしくは課題解決に力を注ぐべきです。作業はPMOではない、プロジェクトメンバーに依頼するのが、基本です。

5.PMOは面白いのか?つまらないのか?

PMOはプロジェクト全体の管理や推進が主な業務になるため、人によってはその仕事がつまらないと感じる人がいるのは事実です。

本当の意味でのPMOは簡単に出来る仕事ではないのですが、実際の現場では、ひたすら資料作成や会議調整だけを行っている人もいるでしょう。

PMOの仕事が面白いか否かは、

自分の裁量でプロジェクトを引っ張っていけるかどうか

にあると個人的には思っております。

そのためには、プロジェクトを牽引出来るスキルを身につける必要があります。
PMBOKの知識を学習したり、PMPやプロジェクトマネジメントの資格を取るなどして、マネジメントスキルを身に着けていきましょう。

そうすれば、裁量を持たせてもらうことが出来、PMOの仕事が面白くなるでしょう。

6.参考書籍

PMOを学ぶにあたり、おススメしたい本です。

プロジェクトに関わる人には読んでいただきたい良著です。

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