【解説】5G特定基地局の開設計画の認定に係る審査結果について

この記事はこんな人におススメ

「5Gの電波割当結果をかみ砕いて教えて欲しい」
「5Gっていつから始まるの?」
「各通信キャリアの5Gに関する展望は?」

こんにちは。wasatakaです。

5G導入のためのの各通信キャリアの基地局計画が明らかになりました。

今回は総務省資料に基づき、内容をざっくりと解説したいと思います。

1.絶対審査基準の審査結果

1-1:特定基地局の配置及び開設時期に関する事項

開始時期や基地局展開率はNTTドコモとKDDIが抜きんでています。ユースケースを作り出すためにはスピードが大事ですので、ここは大きな差が開いていると言えると思います。

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
特定基地局の運用開始
(3.7G及び4.5G)
2019年8月20日~2019年10月1日~2019年12月2日~2020年4月1日
特定基地局の運用開始
(28GHz)
2019年8月20日~2019年10月1日~2020年6月30日~2020年4月1日
5G基地局展開率(2024年度末時点)4,331局(97.0%)4,160局(93.2%)2,855局(64.0%)2,506局(56.1%)

1-2:設置場所の確保について

基本的には各社とも既存基地局に併設する形を取るようです。そのために設備の省スペース化を実施するという部分も各社同じです。

また、日本ではあまり進んでいないのですが、インフラシェアリングについても各社とも言及されております。

景観条例等によって、設置場所を確保出来ない場合は各通信キャリア協議のもと、インフラシェアを行うとされています。

1-3:技術観点

各社ともMECやネットワークスライシングの技術を導入するとしています。ただし、ここでもNTTドコモとKDDIは計画に具体性があり、一歩進んでいる印象です。

CHECK

◎MEC:モバイルエッジコンピューティングの略。5Gの特徴でもある超低遅延を実現するための技術。移動通信網のエッジである基地局などにAPサーバーやストレージを持ってくることにより、低遅延を実現する。
◎ネットワークスライシング:ネットワークを仮想化し、用途に応じてその構成を動的に与える技術。物理的に同じ装置を使いながら複数のネットワークシステムがあるような形態になる。

1-4:運用・保守

当然ですが、各社とも24時間体制となっております。ただし、従事者数に関しては差分があるようです。

各社の運用・保守の従事者数は下記の通りです。

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
オペレーションセンター400名1,166名353名192名
保守要員(自社)2,600名544名1,726名346名(委託込み)
保守要員(委託)3,000名不明688名上記同様

1-5:設備投資額

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
設備投資額(3.7GHz/4.5GHz)5,260億円3,341億円1,016億円1,496億円
設備投資額(28GHz)1,340億円387億円205億円822億円
交換設備/伝送路設備1,350億円939億円840億円348億円

基地局の展開計画数からも明らかですが、設備投資額はNTTドコモがかなり大きい状況です。

本業の電気通信業での余剰利益も4社のなかで群を抜いており、安定した財務基盤があることが伺えます。

2.競願時審査基準の審査結果

2-1:3,600~4,000MHz帯の基準

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
A.認定から5年後の5G基盤展開率4点2.65点1.35点0点
B.認定から5年後における特定基地局の開設数1.3点4点0点2.7点
C.屋内に関する具体的な基地局計画3点2点0点1点
D.需要が顕在化した場合の対策方法0点0点0点0点
E.安全・信頼性の確保0点0点0点0点
F.MVNOに対する利用促進の計画4点2.65点1.35点0点
G.5Gの利活用に関する具体的な計画2点2点1点0点
H.指定済周波数に対する契約数の割合が大きいこと3点2点1点3点
I.認定から5年後の俯瞰地域人口の解消人数が大きいこと1点2点0点2点
合計18.3点17.3点4.7点8.7点

2-2:4,000~4,100MHz帯の基準

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
A.認定から5年後の5G基盤展開率3点1.5点0点
B.認定から5年後における特定基地局の開設数3点1.5点0点
C.屋内に関する具体的な基地局計画1点2点0点
D.需要が顕在化した場合の対策方法0点0点0点
E.安全・信頼性の確保0点0点0点
F.MVNOに対する利用促進の計画3点1.5点0点
G.5Gの利活用に関する具体的な計画1点1点0点
H.指定済周波数に対する契約数の割合が大きいこと2点1点0点
I.認定から5年後の俯瞰地域人口の解消人数が大きいこと1点2点0点
合計14点10.5点0点

2-3:4,500~4,600MHz帯の基準

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
A.認定から5年後の5G基盤展開率2点0点
B.認定から5年後における特定基地局の開設数2点0点
C.屋内に関する具体的な基地局計画1点0点
D.需要が顕在化した場合の対策方法0点0点
E.安全・信頼性の確保0点0点
F.MVNOに対する利用促進の計画2点0点
G.5Gの利活用に関する具体的な計画1点0点
H.指定済周波数に対する契約数の割合が大きいこと1点0点
I.認定から5年後の俯瞰地域人口の解消人数が大きいこと1点0点
合計10点0点

2-4:28GHz帯の基準

通信キャリア名NTTドコモKDDIソフトバンク楽天
A.認定から5年後の5G基盤展開率4点2.65点1.35点0点
B.認定から5年後における特定基地局の開設数1.3点4点0点2.7点
C.屋内に関する具体的な基地局計画2点3点0点1点
D.需要が顕在化した場合の対策方法0点0点0点0点
E.安全・信頼性の確保0点0点0点0点
F.MVNOに対する利用促進の計画4点2.65点1.35点0点
G.5Gの利活用に関する具体的な計画2点2点1点0点
H.指定済周波数に対する契約数の割合が大きいこと3点2点1点3点
I.認定から5年後の俯瞰地域人口の解消人数が大きいこと1点2点0点2点
合計17.3点18.3点4.7点8.7点

3.条件の付与について

3-1:ソフトバンクのみに付与される条件

過去に発生した重大事故の再発防止策の徹底に努めるとともに、平成30年7月豪雨や平成30年北海道胆振東部地震等で の被害による通信障害に鑑み、停電対策・輻輳対策や通信障害の発生防止等の電気通信設備に係る安全・信頼性の向上に努めること。

3-2:楽天のみに付与される条件

認定を受けた移動通信事業者は自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に従い、基地局の着実な開設 に努めること。
特定基地局の円滑かつ確実な整備のため、基地局の設置場所の確保及び工事業者との協力体制の構築に努めること。
電気通信事業の確実な運営のため、必要な社内体制の整備に努めること。特に、特定基地局その他電気通信設備の適切な 運用のため、無線従事者など必要な技術要員や基地局の開設に必要な人員の確保、配置に努めること。
競争に伴う経営環境の変化が生じた場合においても、設備投資及び安定的なサービス提供のために必要となる資金の確保 その他財務の健全性の確保に努めること。

4.「5G導入のための特定基地局の開設計画の認定に係る審査結果について」のまとめ

各通信キャリアに割り当てられる電波をまとめると下記のようになります。

まとめ

NTTドコモ:3枠取得
①3,600~3,700MHz
②4,500~4,600MHz
③27,4~27,8GHz


KDDI:3枠取得
①3,700~3,800MHz
②4,000~4,100MHz
③27,8~28.2GHz


ソフトバンク:2枠取得
①3,900~4,000MHz
②29,1~29.5GHz


楽天:2枠取得
①3,800~3,900MHz
②27,0~27.4GHz

いかがでしたでしょうか。

5Gは次世代のIOTを担う技術として世界的に注目を浴びております。

日本での本格化はこれからになりますので、これから目が離せませんね。