議事録は若手の雑用と思われがちであるが、実は非常に難しい仕事である。
議事録を書くのが上手い人は、間違いなくビジネススキルは高い。
この記事では、議事録の書き方の基本について解説する。
目次
1.議事録の目的
まず、始めに議事録の目的について解説したい。その目的は下記3点である。
- 決定事項・経緯の共有
- 備忘録
- 会議の主導権を握る
それぞれについて、説明しよう。
(1)決定事項・経緯の共有
議事録において最も重要な目的が、「決定事項・経緯の共有」である。
会議の参加者だけでなく、その他の関係者に対して、共有する意味合いもある。
(2)備忘録
会議が経って数日すると、内容を忘れてしまうことがある。
そのようなときに議事録が残っていると、内容を確認できるため非常に有益である。
つまり、会議において重要だと思われる内容は必ず議事録には残さなくてはいけないということである。
(3)会議の主導権を握る
実は、議事録を書く人はその会議の主導権を握ることが出来る。
例えば、会議で議論や結論が曖昧な部分があったとする。そのような時、議事録を書く人が自身の解釈である程度の議論の方向性を示すことが可能となる。
また、自社や議事録作成者にとって不利なことは、あえて書かないというテクニックもある。
つまり、議事録によって会議のコントロールが可能ということである。
2.簡単5ステップ!議事録の書き方の基本
では、ここからは、議事録の書き方の基本について説明したい。
議事録は下記5ステップで書くようにする。
- 事前に取得できる情報を準備する
- 会議中にメモを取る
- メモを元に議事録を作成する
- 作成した議事録を校閲する
- 議事録を関係者に展開する
それぞれ順番に説明したい。
ステップ①.事前に取得できる情報を準備する
まずは議事録の用途を確認し、事前に取得できる情報を準備する。
出席する会議によって、情報量や必要な粒度が変わるため、事前に確認することを推奨する。
例えば、30名程度の社内会議であれば、下記のような項目が必要になる。
- 会議名
- 日時
- 場所
- 参加者
- 議題
- 決定事項
- ToDo
これらの項目を事前にテンプレート化しておけば、会議中はメモに集中できるため、おすすめである。
ステップ②.会議中にメモを取る
会議中のメモを取る際には参加者の発言を正確に記録することが重要である。
とはいえ、会議は次々に進んでいくため、発言を全て取るのは困難かと思う。
そこで、いくつかコツをお伝えしよう。
(1)会議の議題になっている箇所は必ずメモをする
あらかじめ会議の議題となっている箇所は必ずメモしよう。
議題の内容は、関係者にとって最も重要な箇所だからだ。
(2)質疑応答は意識して聞く
会議の参加者から質問が出た場合は意識を集中してメモを取らなければならない。
質問内容は多くの場合、資料には記載されていないため、聞き逃しは避けなければならない。
また、質問が出た箇所は、関係者にとって知りたい部分になるため、そのような点においても質疑応答は重要な場面である。
(3)主語と目的語は必ず記載する
主語と目的語は必ず記載しよう。もし、これらが不明な場合は会議中に確認する。
(おまけ)それでも難しければ、録音する
メモを取る際のコツを3点お伝えしたが、それでも難しければ録音することをおすすめする。
最近はスマートフォンの録音機能があるため、それを使えば容易である。
ステップ③.メモを元に議事録を作成する
次に、会議のメモを編集して、議事録を作成する。
作成時の基本的なルールは以下の通り。
(1)文語体(書き言葉)で書く
言うまでもないが、議事録はビジネス文書である。
そのため、口語体(話し言葉)ではなく、文語体(書き言葉)にしなければならない。
ビジネス文書において文語体で書くのは、基本的なルールだが、実は最もミスが起こりやすい。
具体的な対策については下記の記事に書いているため、参考にしてほしい。
議事録が苦手な人が意識するべきたった1つの書き方のコツ(2)簡潔な文章で書く
議事録では、余計な修飾語や語尾などは書かずに、明確・簡潔に記載する。
コツは一文を出来る限り短くすることだ。
短い文章を繋げることで、リズムが良い文章になる。
(3)実際に発言されていないことも適宜補足する
会議に参加していない人が読んだ際にも、議論のポイントや流れが正確に伝わるように適宜補足する。
また、5W1Hも意識して文章を作る。
ステップ④.作成した文章を校閲する(レビューする)
作成した議事録について全体を見直し、修正する。
校閲の際は以下のようなポイントをチェックします。
(1)口語体(話し言葉)は文語体(書き言葉)に修正する
上記ステップ③の(1)に記載した通り、最も指摘が多いポイントである。
ちなみに、口語体と文語体を分かりやすく説明すると、以下のようになる。
日常で使われる会話内の言葉遣いを文章にしたものが口語体、前時代的な堅苦しい丁寧で古典文学に用いられるような文章が文語体です。
ブログ『小説講座』より引用
(2)余計な修飾語や語尾は削除する
よく見られる余計な言葉としては、以下が挙げられる。
- ~を行う(例:作業を行う ⇒ 作業する)
- ~を実施する(例:試験を実施する ⇒ 試験する)
- ~頂く(例:確認頂いた ⇒ 確認した)
- ~するイメージ(例:実行するイメージ ⇒ 実行する)
- 基本的に~(例:基本的には合意する ⇒ 合意する)
(3)代名詞は使用せずに明確な言葉に言い換える
代名詞は読む人によって、認識齟齬を与える可能性があるため、基本的には使用しない。
代名詞ではなく、固有名詞を使うべきである。
- そのようなことは ⇒ 〇〇は
- その点については ⇒ 〇〇の点については
(4)否定形は避ける
否定形は使わずに、別の単語に置き換えたほうが良い。
例えば、以下の通りである。
- 高くない ⇒ 低い、安い
- 可決しなかった ⇒ 否決した
- 実施していない ⇒ 未実施である
(5)時期やタイミングは明確に記述する
例えば、以下の通りである。
今後 ⇒ 〇〇以降
明後日 ⇒ 明後日(〇月〇日)
(6)単語の途中や記号の始めで改行しない
単語の途中や記号の始め(例えば 「 など)で改行すると読みづらくなるため、文章の区切りの良い箇所で改行する。
(7)冗長性を排除する
冗長的な文章は不必要に長くなり、意味も伝わりにくくなる。意味が重なっている部分は削除する。
(8)誤字を修正する
誤字を防ぐにはセルフレビューが効果的である。特に氏名には注意しよう。
ステップ⑤.議事録を関係者に展開する
作成した議事メモは早急に関係者に展開すべきであり、早ければ早いほど良い。
議事メモにかける時間のだいたいの目安は下記の通りである。
議事メモ作成の時間
会議の半分の時間(60分の会議であれば、30分で作成
議事メモ展開の時間
会議の開催日中に展開する(遅くとも翌日の午前中までに)
3.【まとめ】議事録は決して簡単な仕事じゃない
いかがだろうか。
今回は議事の書き方の基本について解説した。
冒頭にも記載している通り、議事メモ作成は決して簡単な仕事ではなく、むしろ難しいものである。
議事録作成は、会議内容の理解、ビジネス文書力の向上、論理的思考力の向上など、様々なビジネススキルの向上に役立つため、是非積極的に巻き取ってほしい。
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