この記事では、受入テスト仕様書の作成について解説する。
受入テスト仕様書は、テストの中身やテストデータを記載したものであり、受入テストを成功に導くために必ず作成するべき成果物である。
なお、受入テスト仕様書の作成目的は下記2点である。
- 受入テストシナリオに抜け漏れが無いようにするため
- 要件定義~開発フェーズに関わっていない人でも受入テストを実行できるようにするため
では、実際に受入テスト仕様書をどのように作成するのか、順を追って説明したい。
目次
1.受入テスト仕様書の構成について
受入テスト仕様書の推奨構成は、下記4点である。
①テストシナリオ
②テストケース
③テストデータ
④テスト実施表
特に、テストシナリオは受入テスト実施にあたり、必須となる。
2.受入テスト仕様書作成の4ステップ
受入テスト仕様書の作成手順は、下記4ステップである。
それぞれについて、説明したい。
ステップ1:テストシナリオを作成する
テストシナリオは、受入テストの枠組みとなる成果物である。
受入テストは、ユーザー目線で行うテストのため、実業務で起こり得るシナリオを選定する。
テストシナリオ作成の際のポイントは、以下の通りである。
ポイント
・業務に支障が出ないかという目線でチェックを行う
・シナリオに抜け漏れがないよう、起こり得るあらゆるパターンを想定する
・ToBe業務フローをベースに、全ての業務フローを網羅する
・優先度の高いものからシナリオを作る
・前工程でのテストシナリオを把握し、無駄のないテストシナリオを作成する
・要件定義で作成したToBe業務フローに、受入テストで確認するべき観点を記入し、抜け漏れが無いようにする
STEP2:テストケースを作成する
テストケースとは、各テスト項目に対して、「入力」「予想される結果」「実行状態」を文章化したものとされている。(IEEE Standard 829-1983より)
全て正常に処理がうまくいったケース(正常系)だけでなく、不正値を入力した場合の出力結果(異常系)も考慮が必要である。
異常系のテストケースをしっかりと作りこむことで、テストの質は高くなる。
例として、スマホのメッセージアプリの受入テストケースを簡単に書いてみたので、参考にしてほしい。
なお、この例では、かなり簡素化しているため、イメージを掴むためのものとして認識いただきたい。
実際には、パワーポイントではなく、エクセルなどで、もう少し細かい手順や想定結果を記載する必要がある。
ポイント
・テストケースの目的は、テストの漏れ防止、テストの透明化である
・誰がテストをしても同じ結果になるような分かりやすい記述を心掛ける
・抜け漏れがないように考慮するのと同時に、ダブり(無駄)も防ぐ
STEP3:テストデータを作成する
テストデータは、受入テスト実施時に使うためのデータである。
参加者数が増えれば、それだけテストデータも必要になるため、注意が必要だ。
ポイント
・実業務を想定したデータにする
・参加者に応じて、テストデータを作成する
STEP4:テスト実施シートを作成する
テスト実施シートとは、実際に受入テストを実施する人がテスト内容を確認し、その結果を記入するシートのことである。
このテスト実施シートをもとに受入テストの進捗状況などを確認する。
ポイント
・進捗が定量的に確認できるよう、テスト項目を管理する
・テストシナリオとテストケースを組み合わせて作成するのが望ましい。テストシナリオがテストケースを網羅しているかどうかが表形式で分かると良い。
3.【まとめ】受入テスト仕様書は抜け漏れを防止することと再現性の高さが重要
冒頭でもお伝えした通り、受入テスト仕様書は、テスト前に必ず作成するべき成果物である。
テストの抜け漏れが無いよう考慮することと、誰がテストをしても同じように再現されることがポイントである。
なお、下記記事にて、受入テストを体系的に整理しているため、参考にして欲しい。
【初心者向け】受入テスト完全マニュアル4.受入テストの知識を高めるための参考教材
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5.参考動画
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