はじめに
みなさん、パソコンを使っていて「ウイルス対策ソフトって結局どれを入れればいいんだろう?」と悩んだことはありませんか? 特に初心者の方は、「パソコンを買ったときに入っているソフトだけで本当に大丈夫なの?」と疑問を持つことも多いでしょう。
実は、Windows 10以降のパソコンには「Windows Defender」(現在の正式名称は「Microsoft Defender」ですが、馴染みのある名称として本記事では「Windows Defender」と呼びます)というセキュリティソフトが標準で搭載されています。これはマイクロソフト社が開発しているセキュリティ機能で、ウイルス対策やスパイウェア検出、ランサムウェア対策、ファイアウォール機能など、総合的な保護を提供してくれます。
本記事では、初心者の方を対象に、Windows Defenderとは何か、どんな機能があるのか、そしてどのように活用すればよいのかを詳しく解説していきます。
初心者でも分かりやすいように、専門用語にはなるべく丁寧な説明を加え、実際の使い方もスクリーンショットをイメージできる形で説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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1.Windows Defenderとは?
1-1.標準搭載の安心感
Windows Defenderは、Windows 10やWindows 11など、マイクロソフト社が提供している最新のWindows OSに標準搭載されているセキュリティソフトです。以前は「Windows Defender」という名前でしたが、現在は「Microsoft Defender」という名称も使われます。標準搭載ということは、パソコンを買って起動した段階で、ある程度の保護機能がすでに働いているということ。追加で有料のウイルス対策ソフトを購入しなくても、最低限の安全対策が整うのは大きなメリットです。
1-2.どんな役割を果たすのか
Windows Defenderは、主に以下の役割を担っています。
- ウイルス対策機能
- インターネットを通じて侵入してくるウイルスやマルウェア(悪意のあるソフトウェア)を検知・駆除します。
- スパイウェア対策
- 利用者の個人情報や行動履歴を盗み出そうとするソフトをブロックしたり削除したりしてくれます。
- ファイアウォール機能
- ネットワーク越しに不正アクセスが行われるのを防ぐ役割を持っています。外部からの不正な通信を防ぐだけでなく、知らない間に外部へ情報を送信しようとするプログラムの通信を制限することも可能です。
- ランサムウェア対策
- データを勝手に暗号化されるランサムウェアへの対策も含まれています。これにより、大事なファイルを人質に取られるといった被害を軽減することができます。
こうした多機能なセキュリティ対策が、OSに標準装備として無償で備わっているのは大変ありがたいことです。
2.Windows Defenderの特徴
2-1.軽快な動作
他社製のウイルス対策ソフトと比較して、Windows DefenderはOSに統合されている分、余計な常駐アプリケーションを増やすことがなく、動作が比較的軽めといわれています。
複数の有料ソフトを同時に動かしていると、パソコンが遅く感じられることがありますが、Windows Defenderだけを使っている場合は、そこまで大きな負荷はかからないでしょう。
もちろん、パソコンのスペックや他に常駐しているソフトウェアの数にもよりますが、OSに溶け込むように設計されているため、パフォーマンス面の影響は少なめです。
2-2.シンプルで使いやすいインターフェイス
初心者の方がウイルス対策ソフトで戸惑う要因のひとつが、「いったいどこを操作すればいいのか分からない」という問題です。Windows Defenderの場合は、Windowsの設定画面からアクセスできるほか、必要な操作項目もシンプルにまとめられています。たとえば「ウイルスと脅威の防止」「ファイアウォールとネットワーク保護」「アプリとブラウザーのコントロール」「デバイスのセキュリティ」など、大きく分類されているので、初めてでも比較的分かりやすい仕様になっています。
2-3.マイクロソフトのクラウド技術との連携
Windows Defenderはマイクロソフトのクラウド上のセキュリティ分析サービスとも連携し、最新のウイルスや不審な挙動を検知した場合、迅速に対策を行います。新しいマルウェアが発見された際に、その情報がクラウド上で共有され、Windows Defenderがアップデートされることで、ユーザーが守られる仕組みです。このクラウド連携によって、最新の脅威に対しても素早く対応できる点は、大きな強みと言えます。
3.Windows Defenderの使い方
ここからは、初心者の方に向けて、Windows Defenderをどのように操作すればいいのかを順を追って解説していきます。
3-1.Windows Defenderの基本画面を開く
- スタートメニューを開く
- 画面左下(もしくは中央など、Windowsの設定によって位置は異なりますが)のスタートボタンをクリックします。
- 「設定」を選択
- 歯車のアイコンがある「設定」ボタンをクリックします。
- 「更新とセキュリティ」を選択
- 設定画面が開いたら、「プライバシーとセキュリティ」をクリックしましょう。
- 「Windows セキュリティ」を選択
- 左側のメニューから「Windows セキュリティ」を選び、「Windows セキュリティを開く」をクリックするとWindows Defenderのメイン画面が立ち上がります。
ここではメイン画面が以下のように区分されています。
- ウイルスと脅威の防止
- アカウントの保護
- ファイアウォールとネットワーク保護
- アプリとブラウザーのコントロール
- デバイスのセキュリティ
- デバイスのパフォーマンスと正常性
- ファミリー オプション
初めて見ると多そうに感じますが、実際に確認するのは主に「ウイルスと脅威の防止」「ファイアウォールとネットワーク保護」あたりで十分です。
3-2.リアルタイム保護の確認
「ウイルスと脅威の防止」の項目をクリックすると、Windows Defenderのメイン機能であるウイルス対策機能の設定を確認できます。ここで特に大切なのが「リアルタイム保護」という設定。
これは、常にパソコン内の動きを監視し、ウイルスやマルウェアが入り込んだ瞬間に検知してブロックするための機能です。通常はデフォルトでオンになっていますが、万が一オフになっていた場合はオンに切り替えるようにしましょう。
3-3.スキャンの実行方法
手動で「今すぐウイルススキャンをしたい」と思ったら、同じ画面の「クイックスキャン」ボタンをクリックします。クイックスキャンでは、ウイルスに狙われやすい場所を中心に短時間でチェックしてくれます。
より徹底的に検査したい場合は、「スキャンのオプション」から「フルスキャン」を選びます。フルスキャンは時間がかかる場合がありますが、パソコン内全体をくまなくチェックするため、怪しいファイルを見逃しにくいです。
3-4.検出された脅威の処理
万が一スキャン中にウイルスやマルウェアが見つかった場合は、Windows Defenderが自動で隔離あるいは削除してくれます。検出結果が表示されたら、画面の指示に従って「削除」や「隔離」のボタンを押し、駆除を完了させましょう。処理後は再起動を要求される場合もあるので、その指示に従ってください。
4.ファイアウォールとネットワーク保護
4-1.ファイアウォールとは?
「ファイアウォール」は、外部からの不正アクセスや攻撃をブロックする“防火壁”のような役割を持ったセキュリティ機能です。Windows Defenderにも「ファイアウォールとネットワーク保護」という項目があり、ここでネットワークの状況を確認したり、ファイアウォールの設定をカスタマイズしたりできます。
4-2.ネットワークごとの設定
Windows Defenderのファイアウォールは、ネットワークを以下のように区分して管理します。
- ドメイン ネットワーク(会社や学校など、ドメイン管理されたネットワーク)
- プライベート ネットワーク(自宅のWi-Fiなど、信頼できる環境)
- パブリック ネットワーク(カフェの無料Wi-Fiなど、不特定多数が利用する環境)
状況に応じてファイアウォールをオン・オフにできますが、初心者の方は基本的にすべてオンにしておくことを強くおすすめします。公共のWi-Fiはセキュリティリスクが高いため、ファイアウォール機能でしっかり防御しておきましょう。
4-3.アプリケーションごとの許可設定
特定のアプリケーションだけは通信を許可したい場合、例外設定を行う必要があります。「アプリや機能をファイアウォールで許可する」画面から、通信を必要とするアプリを選び、プライベート/パブリックのネットワークのどちらで許可するかを指定できます。
ただし、むやみに例外を追加するとセキュリティリスクが高まりますので、よく分からないものには設定しないのが無難です。
5.その他の保護機能
5-1.ランサムウェア対策
ランサムウェアとは、感染するとパソコン内のファイルを勝手に暗号化し、元に戻してほしければ身代金を支払えと脅す悪質なマルウェアです。Windows Defenderには「ランサムウェア対策」として「コントロールされたフォルダーアクセス」という機能があります。
コントロールされたフォルダーアクセスをオンにすると、指定したフォルダに対して、信頼されていないアプリケーションによる変更をブロックすることができます。大事な文書ファイルや写真などが保管されているフォルダを登録しておけば、不審なプログラムによる勝手な変更を防ぐことが可能です。
5-2.アプリとブラウザーのコントロール
Windows Defenderには、ブラウジング中のマルウェア感染やフィッシング詐欺を防ぐための機能も備わっています。
- Exploit Protection(エクスプロイト防止):脆弱性(セキュリティホール)を突く攻撃を防ぐ機能
- SmartScreen:インターネット上で危険なサイトやダウンロードをブロックする機能
初心者の方は特別な理由がない限り、これらの設定はデフォルトのままにしておいた方が安全です。もしウェブサイトやファイルのダウンロードで警告が表示された場合は、安易に無効化せず、本当に安全なファイルなのかをよく確認しましょう。
5-3.デバイスのパフォーマンスと正常性
この項目では、Windows Updateの状況やドライバーの状態など、システムが正常に動作しているかを確認できます。もしもアップデートが滞っていたり、記憶領域が不足していると警告が表示されるので、適宜メンテナンスを行いましょう。
6.Windows Defenderの更新とアップデート
6-1.自動更新の仕組み
Windows Defenderは、Windows Updateを通じて自動的にウイルス定義ファイル(マルウェアのデータベース)やプログラムのアップデートを行います。通常、パソコンがインターネットにつながっていれば、新種のウイルスに対応する定義ファイルが随時ダウンロードされるため、特別な操作をする必要はありません。
6-2.アップデートの手動確認
もし「最近アップデートされているか不安」という場合は、自分で更新を確認することもできます。「ウイルスと脅威の防止」の画面から「保護の更新」を選択し、「更新プログラムのチェック」をクリックすると、最新の定義ファイルを取得しているかどうかを手動で確認できます。
6-3.Windows Updateとの連携
Windows Defenderのアップデートは、Windowsのシステムアップデートの一部として一括管理されています。そのため、普段からWindows Updateをこまめに適用していれば、Windows Defenderも自動的に最新状態が保たれます。OS自体のセキュリティパッチも含めて、常に最新にしておくことが重要です。
7.Windows Defenderのメリット・デメリット
7-1.メリット
- 追加費用がかからない
- Windowsに標準搭載されているため、別途ライセンス料を支払う必要がありません。
- OSとの高い統合性
- Windowsのシステムと連携がスムーズで、パフォーマンスへの影響が比較的小さいと言われています。
- 自動更新が便利
- Windows Updateを通じて自動で定義ファイルやプログラムが更新されるため、常に最新の状態を保ちやすいです。
- 設定が比較的シンプル
- 大まかな機能は「ウイルスと脅威の防止」「ファイアウォールとネットワーク保護」などに分かれており、初心者でも使いやすい構成になっています。
7-2.デメリット
- 高機能な有料ソフトに比べて検出率が劣る場合がある
- Windows Defenderは年々改善されてきているものの、市場にはさらに検出率やサポート体制に優れた有料ソフトも存在します。
- サポート体制の違い
- 有料ソフトの場合、トラブルがあったときに電話サポートなどが充実していることがあります。一方、Windows Defenderは無料で標準提供される反面、手厚いサポートを直接受けることは難しい場合があります。
- 特定の高度なセキュリティ機能は不足気味
- 企業の大規模なネットワーク環境などでは、Windows Defenderだけでは物足りないケースがあるかもしれません。
とはいえ、普通の家庭や個人での利用であれば、Windows Defenderで必要十分なセキュリティ対策が得られると言えるでしょう。
8.Windows Defenderを使う上での注意点とポイント
8-1.他のウイルス対策ソフトとの併用の是非
初心者の方がよく疑問に思うのが「他の有料セキュリティソフトと併用してもいいの?」という点です。基本的には、複数のウイルス対策ソフトを同時にインストールすることは推奨されません。なぜなら、両ソフトが干渉しあってパフォーマンス低下やトラブルを引き起こす場合があるからです。
もし有料ソフトを導入する予定があるなら、Windows Defenderのリアルタイム保護はオフにするか、もしくは最初からWindows Defenderをメインに使っていくか、どちらかを選びましょう。
8-2.定期的なスキャンの実施
Windows Defenderはリアルタイム保護がオンになっている限り、普段の作業中もウイルスの侵入を監視していますが、定期的に手動でフルスキャンをかけるとより安心です。普段はクイックスキャンで十分ですが、月に1回程度は時間があるときにフルスキャンを実行してみるといいでしょう。
8-3.怪しいサイトやメールを開かない
ウイルス対策ソフトを入れているからといって、どんな操作をしても安全というわけではありません。不審なサイトにアクセスしたり、見覚えのない添付ファイルを開いたりすると、思わぬマルウェア感染の原因となります。
Windows Defenderが働いていても100%防げるわけではありませんので、常に「自衛の意識」を持つことが大切です。
8-4.OSやソフトウェアのアップデートを怠らない
Windows Defenderだけでなく、Windows自体のセキュリティパッチや、普段使っているブラウザやアプリのアップデートも重要です。脆弱性を放置したままでいると、そこを突いて攻撃される可能性が高まります。アップデート通知が来たら、タイミングを見て速やかに適用しましょう。
9.初心者におすすめのWindows Defenderの活用シナリオ
- パソコン購入後、特に追加のセキュリティソフトを入れる予定がない場合
- Windows Defenderをメインのセキュリティソフトとして活用しましょう。初期設定のままでもある程度の保護は得られます。リアルタイム保護をオンにして、定期的なクイックスキャンを行うだけでも十分です。
- 特定の有料ソフトを使っていたが、ライセンスが切れたので乗り換えたい場合
- 有料ソフトをアンインストールし、Windows Defenderをオンにするだけで切り替えは簡単です。PCの軽快さを取り戻しつつ、それなりの防御力を維持できます。
- 外出先でパブリックWi-Fiを使うことが多い場合
- Windows Defenderの「ファイアウォールとネットワーク保護」を確認し、パブリックネットワークのファイアウォールがオンになっているかをチェック。不要な通信をしないように注意しましょう。
- テレワークなどで会社のネットワークと自宅を行き来する場合
- ドメインネットワーク、プライベートネットワーク、パブリックネットワークの違いを意識し、ファイアウォール設定を見直しておくと安心です。
10.まとめ
ここまで、Windows Defender(Microsoft Defender)について初心者向けに解説してきました。標準搭載のセキュリティソフトとしては非常に高機能で、ウイルス対策やスパイウェア対策、ファイアウォール、ランサムウェア対策まで一通り揃っています。また、マイクロソフトのクラウド技術と連携することで、新種のウイルスにも迅速に対応する仕組みがあります。
有料のセキュリティソフトに比べてサポート面や検出率の細かな部分で劣る場面がないわけではありませんが、個人利用であればまずはWindows Defenderだけでも十分に安全性を確保できるケースが多いでしょう。特に初心者の方や、そこまで重度のセキュリティリスクがない環境では、コストパフォーマンスの面でも非常に優秀と言えます。
ただし、いくらセキュリティソフトが優秀でも、ユーザー自身の行動次第でウイルスやマルウェアを招いてしまう可能性があります。怪しいサイトやメールには近づかない、OSやアプリを常に最新状態に保つ、不要なソフトをインストールしないなどの基本的なルールを守ることが大切です。
パソコンを長く安全に使うためには、「セキュリティソフト + ユーザーの慎重な行動」が何よりも重要になります。まずはWindows Defenderをしっかり理解し、定期的にスキャンをする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。皆さんが快適かつ安心してパソコンを使えるよう、ぜひ活用してみてください。
今後もWindows OSのアップデートに伴ってWindows Defenderの機能は改善される可能性があります。新しいバージョンがリリースされたら、随時変更点を確認しながら最新情報を取り入れていきましょう。そうした地道なアップデートと正しい使い方が、パソコンの安全性を高める近道になります。
初心者の方でも気軽に使えるWindows Defender。ぜひ活用して、トラブルの少ないパソコンライフを送ってくださいね。