はじめに
企業の財務・経営管理を効率化するソリューションの一つとして、近年注目を集めているのが「Tagetik(タゲティック)」です。
従来、各種レポーティングや予算管理、連結会計などを個別のシステムや手作業で行っていた企業では、どうしても業務プロセスが煩雑になりやすく、また人的ミスや作業時間の増大に悩まされてきました。
そうした課題を一元的に解決するために、システム面やコンサルティング面で大きく貢献しているのがTagetikです。本記事では、Tagetikの概要やパートナー制度、コミュニティ、そして実際に関連する仕事に携わる場合の年収事情や評判について、総合的に解説します。
これからTagetikの導入やコンサルタントとしてのキャリアを検討されている方にも役立つ情報をお届けします。
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1. Tagetikの概要
1-1. Tagetikとは
Tagetik(正式には「CCH Tagetik」)は、財務・経営管理分野に特化した統合パフォーマンス管理(Corporate Performance Management: CPM)ソリューションです。
イタリアのTagetik社によって開発され、2017年に世界的な情報サービス企業であるWolters Kluwer(ウォルターズ・クルワー)に買収されました。
以降はWolters Kluwerの一部門として成長を続け、連結会計、財務計画、予算管理、レポーティング、管理会計など幅広い財務機能を一つのプラットフォーム上で提供しています。
1-2. 主な機能
Tagetikの特長は、財務部門や経営企画部門が日常的に行う複数の業務を単一のプラットフォームで完結できる点にあります。具体的には以下のような機能を提供します。
- 財務連結管理
- グループ全体での決算や連結レポートを自動化
- 為替レート調整や内部取引の消去など、多様な連結処理をサポート
- 予算管理・計画立案
- 短期・中期の事業計画や予算編成を一元的に管理
- 事業部門との連携強化やシナリオ分析による意思決定サポート
- レポーティング・ビジネスインテリジェンス
- 各種KPIや財務指標を可視化し、ダッシュボードで分析
- IFRSや米国基準に合わせたレポーティングにも対応
- 管理会計・業績管理
- コストや収益の分析、収益性指標の追跡
- 実績値とのギャップ分析やアラート機能で経営をサポート
- 規制対応(ESG・IFRSなど)
- IFRSやその他の国際基準に対応した財務報告を支援
- ESG開示など新たな報告義務に対しても柔軟な機能拡張が可能
これらの機能が連携することで、企業はデータの重複入力や整合性の問題を最小限に抑えられ、かつ実績から予測に至る一連のプロセスを一貫して管理できます。
1-3. Tagetik導入のメリット
Tagetik導入の最大のメリットとしては、財務・経営管理に関わる業務プロセスの標準化と効率化が挙げられます。また、システムがクラウドベースで提供される場合も多いため、インフラ整備の負担が軽減されるのもポイントです。
さらに、世界的な企業のWolters Kluwerグループに属していることから、国際会計基準や最新の規制対応へのアップデートが迅速かつ継続的に行われるのも信頼性の高さにつながっています。
2. Tagetikのパートナー制度
2-1. パートナーの役割
Tagetikを企業に導入するうえで重要なのが、コンサルティングやシステム構築を担う「パートナー」の存在です。財務・経営管理のシステムは企業ごとに要件やプロセスが異なるため、専門知識と豊富な導入実績をもつパートナーのサポートが不可欠です。パートナーは以下のような役割を果たします。
- 導入コンサルティング:要件定義や現状分析、ベストプラクティスとのギャップを洗い出す
- システム開発・カスタマイズ:企業のニーズに合わせたTagetik設定やアドオン開発
- 運用支援・保守:導入後の運用サポートやシステムアップデートの支援
- ユーザートレーニング:財務部門や経営企画部門向けの教育・研修
2-2. パートナープログラムの種類
Tagetikのパートナーは大きく分けてグローバルパートナーとローカルパートナーに分類されます。グローバルパートナーには、四大監査法人系コンサルファームや大手SIerなどが名を連ねています。ローカルパートナーは地域特化や特定業種特化の企業で、より細やかなサポートや業務知識に強みを持つことが多いです。
また、パートナーのレベルはプラチナ、ゴールド、シルバーなどのランク付けがある場合もあり、導入実績やコンサルタントの資格保有者数、顧客満足度などに応じてステータスが決定されます。
2-3. パートナーに依頼するメリット
企業がTagetikを導入する際、パートナーに依頼する主なメリットは以下の通りです。
- 専門知識へのアクセス
財務・経営管理や会計基準、システム実装に関する高度な知識を活用できる - プロジェクトリスクの軽減
過去の豊富な導入実績があるため、導入失敗リスクを下げられる - カスタマイズ性の担保
自社特有の要件に合わせた高度なカスタマイズが可能 - 継続的なサポート
新しい機能や規制対応が必要になった時に、パートナーから即時サポートを受けられる
3. Tagetikコミュニティ
3-1. オンラインコミュニティ
Tagetikには公式のオンラインコミュニティが存在し、世界中の導入企業やコンサルタント同士が情報交換を行っています。具体的には、Wolters Kluwerが提供するポータルサイト上で、製品に関するQ&Aやベストプラクティスの共有、最新バージョンのアップデート情報などが活発にやり取りされています。
また、コミュニティにはパートナー企業のメンバーだけでなく、ユーザー企業の財務担当者やシステム管理者も参加しているため、実際の使用感や導入時のトラブルシューティング、システム運用ノウハウなどリアルな情報が得られます。
3-2. ユーザー会・イベント
日本国内においても、Tagetikのユーザー会やセミナー、カンファレンスが不定期で開催されることがあります。ユーザー会では、導入事例の紹介や最新機能のデモ、ユーザー同士の交流など、導入企業にとって役立つ情報が得られる場となっています。
こうしたオフラインでのコミュニティ活動も活発化することで、日本市場でもTagetikの認知度や導入実績が着実に拡大している状況です。
3-3. 資格取得支援・トレーニング
Tagetikには、製品知識や実装スキルを認定するための資格やトレーニングプログラムが存在します。オンラインコースや集合研修を通じて、アプリケーションの設定方法や拡張方法、各種モジュールの取り扱いなどを体系的に学ぶことができます。これらの学習機会を活用し、専門スキルを磨いたうえでTagetikコミュニティに参加すると、より深い情報交換や知見の共有ができるようになります。
4. Tagetikに関わる年収事情
4-1. コンサルタントの年収相場
Tagetikの導入コンサルタントやアプリケーションエンジニアとして働く場合、年収は500万円~1,200万円程度を目安に考えられます。
もちろん、職種や役職、所属する企業の規模によって幅はありますが、専門領域が財務・経営管理であることや、ソリューションが比較的新しく、コンサルタントがまだ希少価値を持つことから、高めの給与水準になっているケースが少なくありません。
特に外資系コンサルティングファームや大手のSIerでは、実績や経験次第で1,000万円を超える年収を得ることも十分に可能です。
4-2. 開発エンジニア・PMの年収
Tagetikのプロジェクトに携わるITエンジニアやプロジェクトマネージャー(PM)の年収帯も、コンサルタント同様に高めの傾向があります。一般的なシステム開発とは異なり、財務会計・管理会計の知識が必要になるため、ある程度専門性を習得したエンジニアやPMは重宝されやすいです。とくにPMクラスになると、年収800万円~1,500万円程度の水準に達することもあります。
4-3. ユーザー企業での年収
ユーザー企業の財務・経営企画部門など、社内でTagetikを運用管理するポジションの年収は企業によって大きく異なります。一般的な経理や財務担当よりは多少高めになることが多いですが、全体の給与テーブル次第で400万円~800万円程度が中心的な水準となるでしょう。
ただし、Tagetikのシステム管理に加えて連結会計や予算編成、各種レポーティングの知識がある場合は、社内でも重宝される人材となりやすく、ポジションアップにつながる可能性があります。
4-4. 今後の需要見通し
昨今の経営環境では、迅速な意思決定やグローバルレベルでの財務情報の見える化が求められています。そのため、TagetikのようなCPMソリューションへの需要は今後も高まっていくと予想されます。これに伴い、Tagetik関連のコンサルタントやエンジニアの需要も拡大し、給与水準も安定的に高い水準を維持する可能性が高いです。
5. Tagetikの評判
5-1. 良い評判
Tagetikに関する肯定的な評判としては、以下のような声が多く聞かれます。
- 操作性・ユーザビリティの高さ
Excelライクな操作感や直感的なUIで、財務部門でも扱いやすい - 豊富な機能をワンストップで提供
連結会計から予算管理、レポーティングまで一貫して行える - 最新の規制・基準への対応
IFRSやESGなど、新しい開示要件にも迅速に対応できる拡張性 - グローバルサポート体制
Wolters Kluwerグループによる世界規模のサポートが受けられる
特に、元々ヨーロッパ発祥のソリューションでありながら、日本の財務・会計要件にもローカライズされている点は、多国籍企業の日本法人や日本企業の海外子会社にとって大きなメリットとされています。
5-2. 悪い評判・課題
一方で、Tagetikの導入や運用においては以下のような課題や否定的な評判もあります。
- 導入コスト・期間が高め/長めになりがち
機能が豊富ゆえに、要件定義やカスタマイズに時間や費用がかかる - 専門家の数がまだ少ない
SAPやOracleなどに比べると歴史が浅いため、日本国内での経験者・コンサルタントの数が限られている - 運用フェーズでの学習コスト
機能が幅広い分、ユーザー企業内で運用担当者を育成する必要がある
ただし、これらの課題は他の統合パフォーマンス管理ソリューションでも共通する面が多く、しっかりとしたパートナー選定や社内体制の整備を行えば十分に乗り越えられるケースがほとんどです。
6. まとめ
財務・経営管理分野で急速に存在感を高めているTagetikは、単一プラットフォームで連結会計や予算管理、レポーティングなどを一貫して行える革新的なソリューションとして、多くの企業に導入が進んでいます。豊富な機能群やグローバル規模でのサポートを強みとしつつも、日本国内ではまだ導入事例や専門人材の絶対数が限られているため、今後さらなる成長が期待できる市場と言えます。
Tagetikのパートナー企業は、こうした企業の多様なニーズに応じて要件定義から実装、運用保守まで支援を行い、導入プロジェクトを成功に導いています。また、ユーザー企業とパートナー企業、さらにはコンサルタントやエンジニアが集うTagetikコミュニティでは、製品知識やベストプラクティスの共有、実務での課題解決など、活発な情報交換が行われています。
年収面を見ると、Tagetik関連のコンサルタントやエンジニアは比較的高めの報酬水準を得られる傾向にあり、特に外資系や大手コンサル・SIerでの需要が伸びています。これは企業が財務・経営管理の高度化を急速に進めるなかで、TagetikのようなCPMソリューションを扱える専門人材がまだ少ないことが背景にあると言えます。一方、ユーザー企業の内部で運用管理を担うポジションでも、Tagetikの実務スキルを持つ人材は貴重であり、キャリアアップのチャンスが大きいでしょう。
導入にあたっては、初期投資やカスタマイズ、運用担当者の育成など、ある程度のコストと期間が必要となる可能性があります。しかし、Tagetikを活用することで得られる決算の早期化、予算策定やシナリオ分析の効率化、正確性の高いレポーティングなどのメリットは、企業にとって長期的に大きな価値をもたらします。今後ますます複雑化する会計基準や管理業務への対応にも柔軟に対処できることから、将来性の高いソリューションとしての地位は揺るがないでしょう。
もしTagetikの導入を検討している場合は、まずは専門のコンサルタントやパートナー企業に相談し、自社の課題や要件を整理したうえで、導入計画を練ることが重要です。また、コンサルタントやエンジニアとしてキャリアを築きたい方は、Tagetikのトレーニングコースや資格取得を通じて専門性を磨くことで、高い年収や豊富なキャリアチャンスを得られる可能性が広がります。国内外のコミュニティを活用すれば最新の情報やノウハウを得られるので、ぜひ積極的に参加してみてください。
以上、Tagetikの概要からパートナー制度、コミュニティ、年収相場、そして評判について幅広くご紹介しました。財務・経営管理のデジタルトランスフォーメーションが加速する中で、Tagetikはその中心を担う存在として注目されています。企業の経営判断をスピーディかつ正確にサポートするTagetikの活用は、競争力を高めるうえでも欠かせない選択肢のひとつと言えるでしょう。