「Dify(ディファイ)」は、生成AIアプリを作る→運用する→改善するまでを一気通貫で支えるオープンソースの開発・運用プラットフォームです。
エージェント的なワークフロー、検索強化のRAG、各社モデルへの接続、ログ/観測までをGUIで扱え、クラウドでもセルフホストでも使えます。まずは「Difyとは?」の全体像と、**料金(2025年9月時点)**を初心者にもわかりやすく整理します。
Difyとは?
- AIアプリの統合開発環境:ノーコードに近い操作で、プロンプト、ツール実行、分岐、外部API呼び出しなどをワークフローで組み立てられます。RAG(ナレッジ検索)や観測(ログ/トレース)も同じ画面で。
- エージェント対応:タスクを分解し、必要なツールを自動選択して実行する「エージェント思考」を組み込めます(Agentノード)。
- オープンソース&セルフホスト可能:GitHubで公開され、Docker Composeで素早く立ち上げられます。
- クラウドも提供:SaaSのDify Cloudを使えば、環境構築なしで試用・運用が可能です。
提供形態:クラウド or セルフホスト
クラウド(Dify Cloud)
- サインアップしてすぐ使えるSaaS版。メッセージクレジット、アプリ数、メンバー数、ナレッジ枠などがプランごとに決まっています。
セルフホスト(Community Edition)
- 無料で自前運用。最低要件はCPU 2コア以上/RAM 4GB以上。Docker Composeで起動・アップグレード手順がまとまっています。
- 学校や研究室などでは、コミュニティ版をオンプレで運用する導入例も。教育向けのガイドやプログラム情報も公開されています。
料金(2025年9月時点)
※金額・仕様は変更される可能性があります。導入前は必ず最新の公式ページを確認してください。以下はDify公式の料金ページをもとに要点を日本語で整理したものです。
1) Sandbox(無料)
- 200メッセージクレジット
- 1ワークスペース/1メンバー/アプリ5個
- ナレッジ50件・保存50MB
- ナレッジ操作レート 10回/分
- Dify APIレート 5,000回/日
- ログ保存 30日
- 対応モデル:OpenAI / Anthropic / Llama2 / Azure OpenAI / Hugging Face / Replicate(BYOK)
→ まず試す・プロトタイプに最適。
2) Professional($59 / ワークスペース / 月)
- 5,000メッセージクレジット/月
- メンバー3人、アプリ50個
- ナレッジ500件・保存5GB
- ナレッジ操作レート 100回/分
- Dify APIレート上限なし(No API Rate Limit)
- ドキュメント処理:優先
- アノテーション上限 2,000
- ログ履歴無制限
→ 小規模チームの本番運用や継続活用に。
3) Team($159 / ワークスペース / 月)
- 10,000メッセージクレジット/月
- メンバー最大50人、アプリ200個
- ナレッジ1,000件・保存20GB
- ナレッジ操作レート 1,000回/分
- Dify APIレート上限なし
- ドキュメント処理:最優先
- アノテーション上限 5,000
- ログ履歴無制限
→ 中規模以上のチームで高頻度に回す運用に。
年払い割引
料金ページにはProfessionalで$118、Teamで$318の割引表記(年間契約)があります。長期運用なら年払いも検討しましょう。
教育向け
料金ページに「学生・教育者は無料」の表記があり、教育特化ページから申請・案内へ進めます(適用条件は要確認)。
料金と「制限値」を読み解く3つのポイント
- メッセージクレジット
各プランの「○○メッセージ」は、当月に使えるメッセージ処理量の目安です(クラウドの利用制限)。上位プランほど上限が増え、ログ保存/アノテーション上限/ドキュメント処理優先度なども拡張されます。Dify+1 - ナレッジ操作レート(Knowledge Request Rate Limit)
ナレッジ関連の1分あたり操作回数に上限があり、Sandbox: 10/分、Pro: 100/分、Team: 1,000/分が目安として明示されています。大量の一括検証やクロール・再埋め込みを走らせるときは、この制限に引っかからないようバッチ間引きやスケジューリングが必須です。Dify - モデル利用料は別途(BYOK)
Dify自体のプランとは別に、OpenAIやAnthropicなど各モデル提供元の従量課金が発生する前提で設計しましょう(API鍵を持ち込む「BYOK」運用)。クレジットの上限と外部APIのレート制限の両方を考慮して、ピーク時の安定性を担保するのが実務のコツです。Dify
どのプランを選ぶべき?(ユースケース別の目安)
- まず触って感触を掴みたい
→ Sandbox。200メッセージでUIやRAG、Agentの基本を体験。社内稟議のためのPoCづくりにも十分です。Dify - 小規模チームで継続運用したい
→ Professional。3メンバー/アプリ50/ナレッジ500の枠で、プロダクションの軽〜中負荷に耐えます。ナレッジ操作レート100/分、APIレート無制限なので、日次・週次の定期処理も運用しやすい。Dify - 問い合わせ自動化や内製ツールを横展開
→ Team。10,000メッセージ/月と1,000/分のナレッジ操作で、並列処理の余裕が生まれます。最大50メンバーまで広げられるので、複数部署での共用に。Dify
セルフホスト運用の費用感と最小構成
- ソフトは無償(コミュニティ版)。費用はインフラ側(IaaSのVM、ストレージ、バックアップ、監視など)。
- 最小要件は公式に明記:CPU 2コア/RAM 4GB以上。まずは小さめのVMで検証し、ナレッジ容量・埋め込み処理・同時実行数に応じて水平/垂直スケールを検討します。
- デプロイはDocker Composeが最短。
docker compose up -d
で起動、アップグレード時は.env
差分の同期に注意。
Difyでできること(料金と直結する観点だけ抜粋)
- ワークフロー(/チャットフロー):分岐・ループ・外部API呼び出しをGUIで連結。処理回数=メッセージ消費に直結するため、キャッシュや前処理の軽量化でコスト最適化を。
- RAG(ナレッジ):PDF/URL/テキストを取り込み、クエリ時に参照。ナレッジ操作レートの上限があるため、一括更新はスロットリングする。
- エージェント:ツール群を自動選択して多段推論。長い思考↔︎回数増によるメッセージ消費とのバランスを設計で調整。
- 観測(Observability):ログ・実行トレース・コストの見える化で、高コスト経路を特定してチューニング。
- 1タスクあたりのメッセージ数を出す
試作時に平均メッセージ消費(例:プロンプト1回+ツール2回=3メッセージ)を計測。月間タスク数×平均値で必要クレジットを積算します。Dify - ピーク時の同時並行
夜間バッチや始業直後のスパイクなど、1分あたりのナレッジ操作を計算して、**100/分(Pro)や1,000/分(Team)**の範囲に収まるよう調整。Dify - モデル費用(BYOK)
モデルのトークン課金は別建て。社内では軽量モデル+要約→高性能モデルの段階推論で全体単価を下げるのが定石です(設計指針)。Dify - 年払いの割引
年間契約の割引(Pro: $118 / Team: $318)が明記されています。長期運用が確実なら年払いでTCOを圧縮。Dify
よくある疑問
Q. Sandboxでどこまで検証できる?
A. UI体験、ワークフロー設計、RAGの基礎検証には十分。200メッセージと10/分のナレッジ操作に収まる範囲で、プロンプト検証や簡易PoCまで進められます。DifyDify
Q. ProとTeamの体感差は?
A. メッセージ上限(5,000→10,000)とナレッジ操作レート(100/分→1,000/分)、メンバー数(3→50)が大きな違い。APIレート無制限はどちらも同じですが、同時実行が多い環境ではTeamの余裕が効きます。Dify+1
Q. 教育向けの優遇はある?
A. 料金ページに**「学生・教育者は無料」**の案内があり、専用ページから手続きへ進めます(詳細条件は公式で確認)。Dify+1
Q. 自社サーバで運用したい
A. Community Edition(OSS)をDocker Composeでデプロイ。CPU 2コア/RAM 4GB以上が公式の最低要件です。Dify Docs
まとめ:Difyは「作る→回す→育てる」を加速する
- Difyとは:エージェント的ワークフロー、RAG、観測をひとつに束ねたAIアプリの実戦プラットフォーム。OSSでセルフホストもSaaSも選べます。DifyGitHub
- 料金の肝:メッセージ上限とナレッジ操作レート、メンバー/アプリ/ナレッジ容量をどう配分するか。
- **Sandbox(無料)**は学習・PoCに。
- **Professional($59)**は小規模チームの本番運用に。
- **Team($159)**は並列処理や多人数コラボに。Dify+1
- 費用最適化:段階推論やキャッシュ、バッチ間引きでメッセージ消費やレート上限に余白をつくる。年払い割引も活用。DifyDify
TIP:まずはSandboxで「ひとつの業務」を自動化し、手応えを得たらProfessionalへ。並列処理が増えてきたらTeamに拡張――これが迷いにくい王道ルートです。Dify+1
参考(公式)
- 料金(Plans & Pricing):Sandbox / Professional / Team の各種上限・年払い割引、教育プログラムの記載。Dify+2Dify+2
- 教育向けページ:教育機関・学生向けの案内。Dify
- 特徴・機能(トップページ):ワークフロー、RAG、観測など。Dify
- GitHub(オープンソース):ソースコード・更新状況。GitHub
- セルフホスト手順/要件:Docker Compose・最小要件(CPU 2C / RAM 4GB)。Dify Docs
- ナレッジ操作レート上限:SandBox/Pro/Teamの目安(10/分、100/分、1,000/分)。Dify
※本記事は2025年9月6日時点の公開情報をもとに作成しています。最新の仕様・価格は必ず公式サイトでご確認ください。